せい     
1の在処-量子@  生を生きるトラブル    


        世界は人間なしで始まったし、人間なしに終わるだろう。
               レヴィ=ストロース 『悲しき熱帯』 第九部


トンボの眼は数万個の眼からなり視界は上下左右前後ほぼ360°をクリヤする
 上部の個眼は太陽を捉え空を飛び、下部の個眼は40m先で動いた昆虫も見逃さない *1
カエルの目は敏感で一個一個の光子を検出できる *2
 静止している物は見えず、動く物を際立たせ獲物を発見する *3
ハヤブサの目は1キロ先のハトを見分け、紫外線をも見ることができる *4

私たち4人が並んで世界を見るとする
私たちが見る世界は同じ(=)なのだろうか

  彼らは生や種をつなぐ、他物を獲る・他物から逃れるそれぞれの世界を見
  他物と係わるそれぞれの世界を確定する


・量子の二重性・非実在性
  粒子・波  観測して初めて状態が確定する

   2023年3月21日に行われたWBC決勝戦 最終回 3−2 2アウト
   大谷さんの投げた球が、トラウトさんの手前から大きく曲がり中村さんのミットに収まる
   照明の光が多方から照らす直径7センチほどの球の軌跡に4万人近い観客の視線が注がれる
   高速・高回転する球面から乱反射される光が、背景の光と重なったり干渉し合うことなく
   反射源の光(直線光?)として、それぞれの観客の、左右の目に届く

   二重スリット実験にならい、光子を一個一個、光子銃で撃つとする
   スリットとスクリーンの代わりに、カエルの目をした私が正面に立ち
   同様な私たちが上下左右、銃口に向かって立つ
  
   銃口から光子(光波)が発射された時、正面に立つ私が、光源に光を観たとする
   4人の、カエルの目をした私たちも、同時に、光源に光を観ないだろうか
   あるいは、正面に立つ私だけ確率100%に収斂した1つの光子を、片目で観るのだろうか


原子は+と−の電荷0で1となり
量子はアップ・ダウンのスピン0で1となる
人は2本の足で立ち上がり、2つの目で世界を見
2本のラセンがつながり1となり、XX・XYでそれぞれの1となる *5

太陽は核融合により自らの質量をエネルギーに変換して宇宙空間に放出し
植物は光エネルギーと無機物(二酸化炭素)から有機物(糖)を合成し
人は36・7度の熱を保つため、物を食べ・水を飲み・息をする


・量子の不確定性
  量子の位置と運動量が同時に確定している状態は存在しない
  
   私たちは(赤道付近上で)自転速度 時速約1,700kmで回り
   太陽の周りを公転速度 時速約108,000kmで移動し
   太陽系は、時速約864,000kmで天の川銀河の中を移動する
   ・・・・・
   宇宙の膨張速度・宇宙の縮小速度・・・・・
   
   私たちは宇宙の中の、自らの位置と運動量を確定できるのだろうか
   宇宙の外から数百億光年の世界を同時に観測できる観測者ならできるかもしれない


人間が観測することで確定する「世界」や、相対性の「世界」は
人間なしで始まり、人間なしに終わるだろう「世界」と同じ(=)なのだろうか


*1 クボタ For Earth,For Life参照
*2 「量子進化」 ジョンジョー・マクファデン著参照
*3 カエルの図鑑参照
*4 「進化の謎を数学で解く」 アンドレス・ワグナー著参照

*5 性染色体がXXYやX0などで生まれる人がいる
    毎日新聞「境界を生きる」取材班
    「境界を生きる 性と生のはざまで」2013/02刊 参照
   
    
せい
   生を生きるトラブル   2024/10 追記
       −−−−
       「一部の出来事」を「異常な出来事」として消し去ると
       「異常でない出来事の集団」は異常な分布として現れる

       今ここで、「私」も「人の出来事」だとする
         少なくとも私は人の出来事の一部だ
         好きとか嫌いが好きだし、セックスからまったく解放されていない
       「一部(一点)」が「人の出来事(限りなく無限に近い点の集まり)」
       について云々すること自体、矛盾ではないか
       「私」が無限の中にいながら、無限の外にいることになる

       この自己矛盾(おもいあがり)を「異常」とする
       人の出来事が偶然だとして
       異常な出来事は否定できないのではないか
       「私」たちの自己矛盾は「異常」であることで
       許されてもいいのではないか
                      1章4節 「人の出来事」より

     人の出来事を偶然の出来事として考察してみた
     集団の中の「一部(一点)」の言及は想定外だった
     想定外の言葉の展開に、私は助けられた

   

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